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居酒屋を開く前にこれを読め!読まなきゃ潰れるぞ(1)

ラーメン発見伝の原作者である久部緑郎さんの新連載『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』のコミックス第1巻が昨年末に発売された。居酒屋をやる前に絶対に読んでおくべき作品。一貫して、飲食店経営における、とんだ勘違いを正してくれる。

まず第一話から泣けた。居酒屋の存在意義とは「酒場っていうのはイライラやムカムカやメソメソを酔いで溶かして夜に流してしまうための場所じゃないですか!」

居酒屋だから、つまみと酒だけだしてりゃいいってわけじゃない、料理に凝ることも大切かもしれないが、一番重要なのは空間づくりであると思い知らされる。

また、経営が大変なときに少なくともまず思い出してほしいセリフ。「いや、なんか感動するな。自分でモノ売ってお客から現金もらうっていうのは・・・会社いた頃営業もやってたけど、代金は会社からの振り込みだし稼いでるって実感が今イチなかったから・・・」「まあ、その点客商売はビビッドだよな」「その日の稼ぎがその日のうちに現金になってるんだもんね」

これはサラリーマンと経営者の一番の違いだ。稼いでいる実感を味わうことができる。この実感とは生きる喜びでもある。

次は居酒屋の店主の素質とは何か。「酒場の反射神経がある。」それだけ聞いたら、うーん、なんのこっちゃだが、これは、具体的に言うと、とっさにお客様の好きなメニューを提供したりできること、臨機応変にお客の気持ちをくすぐることができるということ、あるいは客のニーズを柔軟に取り入れること、である。ファミレスみたいなのは致し方ないが、普通の飲食店も書いてあるメニューだけ提供していればいい、それが普通なのだけれど、それでは安定的なお客はつかない。繁盛店になったら、個々人のわがままなんて聞いてられるか、それもそうなんだけど、ちょっと違うと思う。

接待の席を考えてみよう。その精神は「目配り、気配り、酒配り」だ。そこまでできるかが、個人の経営する飲食店が突き抜ける店になりうるかどうかだ。それは一般のアルバイトにはできない、店主自らやるしかない。お客の顔を見ながら、この人にどんな言葉をかけてあげればよいか、どんなメニューを薦めてあげればよいかを判断する。確かに理想論だが、多店舗展開するまでに、まず本店を成功店とする必要があり、そうでなければなかなか2店舗目を出店するキャッシュがたまらない。

この漫画では酒場の反射神経は「店をやるうえで生半可な調理技術などよりはるかに大きな武器」と言っている。ただ単に、自分が美味しいと思い込んでいるメニューの料理技術を磨いてもお客は納得しない。客を惹きつけるのは、美味しさではない、それを超える「心地よさ」だ。美味しさだけであれば、以前書いた通り、冷凍食品レンジでチンで十分だ。コンビニで酒を買って家で飲めばいい。なぜお客がレンジでチンをせずに、コンビニでビールを買わずに外食を利用するか、店という空間を楽しみに来ているからに他ならない。もちろん味なんかどうでもいいわけではない。お客にまずいと思われないような最低限の質を保ちつつ、心地よい店づくりを目指せ。心地よいとは、客のニーズに合致している状態をいう。わからなければ、客に尋ねるのもよいだろう(直接聞きづらければ、アンケートを取るとかね)。

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